プーさんの記事が内容不足で中々更新できず申し訳ないです。
今回はレイジングスピリッツの遺跡、文明の元ネタについて考察していこうと思います。レイジングスピリッツのBGSについてはあまり触れません。ご了承ください。
さてこちらはレイジングスピリッツの石積みです。
そしてこちらはクリスタルスカルの魔宮周辺で見られる石積みです。
レイジングの方は多角形を切り出した石を使用している一方で、魔宮は四角に切り出されたものしか使用されていないことがわかります。
(画像引用元 https://tabippo.net/chichenitza/)
ここでクリスタルスカルの魔宮の元ネタとされるマヤ文明の遺跡、チチェン・イッツァを石積みに注目して見てみましょう。
クリスタルスカルの魔宮と同じく四角に切り出された石が使用されていることがわかります。
(画像引用元 https://worldheritagesite.xyz/contents/selection-mysterious-kiyomizu/)
そしてこちらはインカ帝国の遺跡マチュ・ピチュの有名な石積みです。レイジングと同じく多角形に切り出された石が使用されています。
また、レイジングスピリッツの石積みには時折このような小さなでっぱりが見られますがこちらもまたマチュ・ピチュにも同様のものが存在します。
(画像引用元 https://世界遺産ハンター.com/peru/ollantaytambo/)
尚このでっぱりについて正確な使用用途は未だ判明していないものの、石の切り出しの跡または運搬用の突起という見方が有力とのことです。
クリスタルスカルの魔宮が基本的にマヤ文明を元にしていることは有名ですが、これらの表現から私はレイジングスピリッツは古代アンデス文明が元になっていると考えています。
他にもレイジングスピリッツとアンデス文明の共通点は多数見られ、今回の記事では基本的に元ネタとの共通点を紹介しつつちょっとだけアトラクション自体の設定についても考察していきます。
これは火の神イクチュラコアトルです。講談社のガイドブック等で顔の下にぶらさがっているものがイクチュラコアトルと紹介されることがありましたが、それは誤りであり近年のガイドブックでは修正されているようです。
このイクチュラコアトルのデザインはディズニー映画『ラマになった王様』からインスピレーションを受けたものというのは有名ですが、更に元を辿るとこれらのデザインは明らかにシカン文化から影響を受けています。
(画像引用元 https://www.art-index.net/art_exhibitions/2009/07/post_502.html)
これはシカン文化で使用されていたトゥミです。Naylamp(ナイランプ?)というペルーの伝説的な人物がデザインされたものなのですがイクチュラコアトル、ひいてはラマになった王様に登場するクスコ城のデザインに非常に類似しています。シカン文化は「黄金の都」と称されることがあるのですが、まさしくクスコ城は黄金で飾られていますね。勿論レイジングには黄金の要素があります。
先ほども紹介したこのイクチュラコアトルにぶらさがる球状のなにかですが、よくみると頭の部分が黄金で塗られています。
シカンに限らず、アンデス文明は金や銀の鋳造していたことで広くしられており逆にマヤでは使われていません。クリスタルスカルの魔宮にも金や銀は見られず、しっかりと別文明として描写されていることがわかります。
またアンデス文明に於いて金は「太陽の汗」と見做され、更に当時太陽は王の子孫とされていたことから非常に高尚な存在だったそうです。
(画像引用元 https://sunoflemuria.buyshop.jp/items/49087256)
またこのイクチュラコアトルの頭部を飾る水色の石たちですが、私はこれらを塗装されたものではなく元々この色をした石なのではないかと考えています。先ほど紹介したトゥミをはじめ、シカン文化ではトルコ石、クリソコラといった青い石が装飾品によく使用されているのです。
(画像引用元 https://en.m.wikipedia.org/wiki/File:Lombards_Museum_039.JPG)
(画像引用元 https://www.reddit.com/r/ArtefactPorn/comments/tdwmft/the_7ft_high_raimondi_stele_made_of_highly/)
レイジングスピリッツには同じくアンデス文明のチャビン文化の意匠もこのようにいくつかみられます。チャビン文化とシカン文化は1000年ほど間がありますが両者「プレインカ」という括りでは共通しています。(プレインカとはアンデス地域に築かれた文明のうちインカ帝国以前の古代文明たちのこと)
(画像引用元 https://worldheritagesite.xyz/media/21198/)
ですがインカ帝国の要素がないわけではありません。これはレイジングスピリッツ入り口前にひっそりと置かれた謎の石なのですが、インカ帝国のかの有名な巨大遺跡マチュピチュに存在する「インティワタナ」と酷似しています。この石についてネット上では日時計であるという説が広く流布していますが、実際のインティワタナについては使用用途が未だ不明なところがあり、レイジングに置かれたこちらも日時計と断定するには多少早計かと私は考えます。
さて公式インスタグラムにこのような投稿があります。
私も以前はこの投稿とおなじく「クリスタルスカルの魔宮よりレイジングの遺跡の方が多く年代が古い」と考えていましたが、クリスタルスカルの魔宮のモデルとなったチチェン・イツァとレイジングにもその要素が見られるアンデス文明とシカン文化というこの二つは、実はほとんど年代を同じくしておりインカ帝国に関してはチチェン・イツァより後期のものとなっています。公式の投稿に盾突くのはファン心理的に憚られるものもありますが、私は現在クリスタルスカルの魔宮がレイジングの遺跡より状態が良いことに関して原因は年代の違いではないと思っています。
というのもみなさんご存知の通りインカ帝国はピサロによって侵略侵攻されてしまいましたが、マヤ文明に関しては白人達が上陸する頃には既に著しく衰退しており侵略という侵略はなかったというのが現在の通説です。
なのでインカ帝国(アンデス文明)がモデルとなっているレイジングスピリッツの遺跡の状態が悪いのは過去既に白人によって侵略されているからではないでしょうか?クリスタルスカルの魔宮は1880年代に嵐で森林が切り開かれたことによって発見されたというストーリーがあります。ということは魔宮についてはこれまで外部のものが発見することはなかった、つまりあの魔宮は大航海時代時点で既に放棄された廃墟の神殿となっていて人の管理下にはなくすっかり森林で覆われており白人による侵略も免れていたのではないでしょうか?
この理由であれば時代設定の矛盾なく両遺跡の保存状態の差についても説明がつくと思うのですがいかがでしょう?ぜひみなさんのご意見もお聞かせください!
参考文献
『失われた文明 インカマヤステカ展図録(2007年開催)』