1928日後…

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レイジングスピリッツについての考察

プーさんの記事が内容不足で中々更新できず申し訳ないです。

今回はレイジングスピリッツの遺跡、文明の元ネタについて考察していこうと思います。レイジングスピリッツのBGSについてはあまり触れませんので、なにとぞご了承ください。

 

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さて早速本題に入りましょう!

こちらはレイジングスピリッツの石積みです。

 

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そしてこちらはクリスタルスカルの魔宮周辺で見られる石積みです。

レイジングの方は多角形を切り出した石を使用している一方で、魔宮は四角に切り出されたものしか使用されていないことがわかります。

 

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(画像引用元 https://tabippo.net/chichenitza/

ここでクリスタルスカルの魔宮の元ネタとされるマヤ文明の遺跡、チチェン・イッツァの石積みに注目して見てみましょう。

クリスタルスカルの魔宮と同じく四角に切り出された石材が使用されていることがわかります。

 

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(画像引用元 https://worldheritagesite.xyz/contents/selection-mysterious-kiyomizu/

そしてこちらはインカ帝国の遺跡、「マチュ・ピチュ」の有名な石積みです。レイジングと同じく多角形に切り出された石が使用されています。

 

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レイジングスピリッツの石積みには時折このような小さなでっぱり(画像左下、下から2番目の石材に注目)が見られますが、こちらもまたマチュ・ピチュで非常によく似たた光景をみることができます。

 

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(画像引用元 https://世界遺産ハンター.com/peru/ollantaytambo/)

※尚このでっぱりについて現在正確な使用用途は未だ判明していないものの、石の切り出しの跡または運搬用の突起という見方が有力とのことです。

クリスタルスカルの魔宮が基本的にマヤ文明でみられる様式や文化をオマージュしていることは有名ですが、このようにレイジングスピリッツは古代アンデス文明が元になっていると私は考えています。

 

他にもレイジングスピリッツとアンデス文明の共通点は多数見られます。今回の記事では基本的に元ネタとの共通点を紹介しつつ、ちょっとだけアトラクション自体の設定についても考察していきます。

 

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これは火の神イクチュラコアトルです。

講談社のガイドブック等で顔の下にぶらさがっているものがイクチュラコアトルと紹介されることがありましたが、それは誤りであり近年のガイドブックでは修正されているようです。

イクチュラコアトルのデザインはディズニー映画『ラマになった王様』からインスピレーションを受けたものというのは有名ですが、更に元を辿るとこれらのデザインは明らかに「シカン文化」から影響を受けています。

 

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(画像引用元 https://www.art-index.net/art_exhibitions/2009/07/post_502.html

これはシカン文化で使用されていた「トゥミ」と呼ばれるナイフです。Naylamp(ナイランプ?)というペルーの伝説的な人物がデザインされたものなのですがイクチュラコアトル、ひいてはラマになった王様に登場するクスコ城のデザインに非常に類似しています。シカン文化は“黄金の都”と称されることがあるのですが、まさしくクスコ城は黄金で飾られていますね。

勿論レイジングスピリッツにも黄金の要素があります。

 

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先ほど紹介したイクチュラコアトルにぶらさがるこちらの球状のなにかですが、よくみると頭の部分が黄金で塗られています。

シカンに限らず、アンデス文明は金や銀の鋳造していたことで広く知られており、逆にマヤで黄金は使われていません。そしてやはりクリスタルスカルの魔宮にも金や銀は見られず、レイジングスピリッツとはしっかりと別文明として描写されていることがわかります。

またアンデス文明に於いて金は“太陽の汗”と見做され、更に当時太陽は王の子孫とされていたことから非常に高尚な存在だったそうです。

まさに黄金は火の神と崇められ、不敬をはたらけば日照りや火山の大噴火をはじめとした災害を齎す、イクチュラコアトルにぴったりの装飾ですね。

 

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(画像引用元 https://sunoflemuria.buyshop.jp/items/49087256

またイクチュラコアトルの頭部を飾る水色の石たちですが、私はこれらを塗装されたものではなく元々この色をした石なのではないかと考えています。先ほど紹介したトゥミをはじめ、シカン文化ではトルコ石、クリソコラといった青い石が装飾品によく使用されているのです。

 

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(画像引用元 https://en.m.wikipedia.org/wiki/File:Lombards_Museum_039.JPG

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(画像引用元 https://www.reddit.com/r/ArtefactPorn/comments/tdwmft/the_7ft_high_raimondi_stele_made_of_highly/

レイジングスピリッツでは同じくアンデス文明の「チャビン文化」の意匠もこのようにいくつかみられます。チャビン文化とシカン文化は1000年ほど間がありますが、両者「プレインカ」という括りでは共通しています。(プレインカとはアンデス地域に築かれた文明のうちインカ帝国以前の古代文明たちのこと)

 

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(画像引用元 https://worldheritagesite.xyz/media/21198/

ですがインカ帝国の要素がないわけではありません。これはレイジングスピリッツ入り口前にひっそりと置かれた謎の石なのですが、かの有名なインカ帝国の巨大遺跡マチュピチュに存在する「インティワタナ」と酷似しています。

この石についてネット上では日時計であるという説が広く流布していますが、実際のインティワタナについては使用用途が未だ不明なところがあり、レイジングに置かれたこちらもまた日時計と断定するには多少早計かと私は考えます。

 

さて公式インスタグラムにこのような投稿があります。

 

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以前はこの投稿とおなじく「クリスタルスカルの魔宮よりレイジングスピリッツの遺跡の方が年代が古い」と考えていましたが、クリスタルスカルの魔宮のモデルとなった「チチェン・イツァ」と、レイジングスピリッツを代表するイクチュラコアトルのデザインの元ネタとなった「シカン」というプレ・インカ文化のひとつについて、ほとんど年代を同じくしているのです。そして実は同じアンデス文明にしても、有名なインカ帝国に関してはチチェン・イツァより後期のものとなっています。

よって公式の投稿に盾突くのはファン心理的に憚られるものもありますが、私は現在クリスタルスカルの魔宮がレイジングの遺跡より状態が良いことに関して原因は年代の違いに限らないのではないか?」と考えています。

というのもみなさんご存知の通りインカ帝国ピサロによって大変に侵略侵攻されてしまいましたが、マヤ文明に関しては白人達が上陸する頃には既に著しく衰退しており、侵略という侵略はなかったというのが現在の通説です。

なのでインカ帝国アンデス文明)がモデルとなっているレイジングスピリッツ遺跡の保存状態がクリスタルスカルの魔宮と比べて悪いのは、年代の違いによる風化度合いの差ではなく白人によって侵略されているという過去を持っているからではないでしょうか?

 

クリスタルスカルの魔宮は1880年代に嵐で森林が切り開かれたことによって発見されたというストーリーがあります。

これは「クリスタルスカルの魔宮についてはこれまで外部のものが発見することはなかった」、つまりあの魔宮は大航海時代時点で既に放棄された廃墟の神殿となっており人間の管理下には一切おかれておらず、すっかり森林で覆われてしまい白人による侵略も免れていた……ということではないでしょうか?

 

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この理由であれば時代設定の矛盾なく両遺跡の保存状態の差についても説明がつくと思うのですがいかがでしょう?

ぜひみなさんのご意見もお聞かせください!

 

2024.07.30 読みやすいように少し編集しました。

 

参考文献

『失われた文明 インカマヤステカ展図録(2007年開催)』